「入れ歯は痛くて噛めないのが当たり前」「見た目が悪いから人前で口を開けるのが億劫だ」「どうせ何をしても同じだろう」
長年にわたり入れ歯に関するお悩みを抱えてこられた方々から、このような諦めにも似たお言葉をこれまで幾度となくお聞きしてまいりました。
私は歯科医師としてまず一つのことをお伝えしなくてはなりません。どうか諦めないでください。
皆様が「仕方ない」と思い込んでいらっしゃるそのお悩みは、適切な知識と技術、そして患者様一人ひとりのお口と真摯に向き合う心があれば解決できる可能性が十分にあります。
当院の入れ歯治療に対する考え方

当院では失った歯の機能を回復させるための第一の選択肢として、インプラント治療を最も優れた方法であると考えております。
それは健康な歯を削ることなく、ご自身の歯とほとんど変わらない感覚でしっかりと噛むことができるからです。しかし、ご高齢であることや重篤な全身疾患をお持ちであること、あるいは様々なご事情からすべての患者様がインプラント治療を受けられるわけではないという現実もございます。
そのような場合に「他に選択肢がないから仕方なく入れ歯にする」という消極的な治療であってはならない。それが私の揺るぎない信念です。
インプラント治療が難しい方のためにこそ、私たちはこれまでの入れ歯の常識を覆すような、快適で美しく、そして心から満足できる「積極的に選びたいと思える入れ歯」をご用意する責任があります。
入れ歯治療もまた失われた食事の楽しみと、自信に満ちた笑顔を取り戻すための素晴らしい選択肢の一つなのです。
このページでは皆様が抱える入れ歯への先入観を希望へと変えるための、当院の入れ歯治療に対する考え方と具体的な取り組みについて詳しくお話しさせていただきます。
「入れ歯は合わない」というお悩みが尽きない理由

「何度も作り直したのに結局痛くて使っていない」このようなお話を本当によく耳にします。
なぜ多くの方が入れ歯に関するお悩みを抱え続けてしまうのでしょうか。
その背景には健康保険制度の下で行われる入れ歯治療が持つ、構造的な「制約」が大きく関係しています。
保険診療における入れ歯作りの制約
日本の保険診療制度は誰もが最低限の医療を受けられるようにするための、非常に優れた制度です。
しかし、こと「入れ歯」という一人ひとりのお口に合わせた極めて精密なオーダーメイドの装置を作る上では、残念ながら様々な制約が存在します。
使用できる材料の制約
保険診療で認められている入れ歯の主な材料は、「レジン」と呼ばれるプラスチックとバネなどに使われる特定の金属に限られています。
レジンは強度を確保するために、どうしてもある程度の厚みが必要になります。
そのため以下のような問題が生じます。
- 装着した時の違和感が大きい
- 上顎を広く覆うため、食べ物の味や温度が感じにくい
- 発音しにくい
といった快適性を損なう原因となります。
また長期間使用すると、水分を吸収して変形したり変色したりしやすいという性質も持っています。
設計と構造の制約
部分入れ歯を安定させるためには残っている歯に「クラスプ」と呼ばれる金属のバネを掛けることが、保険診療では原則となります。
この金属のバネが以下のような問題を引き起こします。
- 笑った時や話す時に見えてしまい、見た目が悪い
- バネを掛けられた歯に常に負担がかかり、その歯の寿命を縮めてしまう
- 食べ物が詰まりやすく清掃しにくい
といった審美的・機能的な問題を引き起こす大きな要因となっています。
製作工程における制約
お口の中は粘膜で覆われた、非常にデリケートで柔らかい組織です。
お口を動かした時、食べ物を飲み込んだ時に筋肉や粘膜がどのように動くかまでを精密に記録しなければ、本当に身体に合った入れ歯を作ることはできません。
しかし、保険診療の枠組みの中ではこのような手間と時間を要する特別な型取りや製作工程を行うことには限界があります。
これらの制約の中で作られる保険の入れ歯が、すべての患者様にご満足いただけないのはある意味で当然のことなのかもしれません。
決して保険の入れ歯が悪いというわけではありません。
ただより高い快適性、審美性、そして機能性を求めるのであれば、これらの制約から解放された自由診療という選択肢があることを知っていただきたいのです。
古屋歯科医院がご提案する自由診療の「新しい入れ歯」

自由診療の入れ歯はいわば、最高の素材と最高の技術、そして最高の時間をかけて作り上げる完全オーダーメイドの精密な装置です。
当院では患者様一人ひとりのお口の状態やお悩み、そしてライフスタイルに合わせて、皆様の「生活の質(QOL)」を最大限に高めることを目的とした優れた入れ歯をご用意しております。
金属のバネがない自然な美しさ「ノンクラスプデンチャー」
「入れ歯にしたいけれどあの金属のバネが見えるのが、どうしても嫌だ」審美性を重視される方にまずお勧めしたいのが、このノンクラスプデンチャーです。

ノンクラスプデンチャーとは?
その名の通り部分入れ歯を支えるための金属のクラスプ(バネ)が一切ない入れ歯です。では、どのようにして入れ歯を固定するのか。
それは入れ歯本体の一部を歯ぐきの色に非常によく似た特殊なピンク色の樹脂で作り、その部分を支えとなる歯の根元にフィットさせることで安定させます。
ノンクラスプデンチャーの優れた特徴
圧倒的な審美性
最大の長所はその見た目の自然さです。
金属のバネがないため、人前で大きく口を開けて笑ったりお話をしたりしても入れ歯を入れていることに、ほとんど気づかれることはありません。
口元のコンプレックスから解放され、自信を持って積極的なコミュニケーションを楽しむことができます。
薄くて軽い快適な装着感
床(しょう)と呼ばれる歯ぐきに乗る部分の素材には、弾力性のある特殊な樹脂が用いられています。これにより保険の入れ歯に比べて、薄く、そして軽く作製することが可能です。
装着した時の違和感が少なく、お口の中に良くなじむため初めて入れ歯を入れる方でも比較的スムーズに慣れていただくことができます。
残っている歯に優しい
金属のバネは支えとなる歯を締め付けるようにして入れ歯を固定します。そのため食事のたびに、バネを掛けられた歯には横に揺さぶるような大きな負担がかかり続けてしまいます。
ノンクラスプデンチャーは歯を面で優しく包み込むようにして支えるため、残っている大切な歯への負担を最小限に抑えることができます。
金属アレルギーの心配がない
金属を一切使用しない、あるいは使用を最小限に抑えることができるため金属アレルギーでお悩みの方にも安心してお使いいただけます。
当院が推進する「メタルフリー治療」の考え方にも合致する選択肢です。
磁石の力で驚きの安定感「マグネットデンチャー」
「食事のたびに入れ歯がガタついて、硬いものが全く噛めない」「話している最中に入れ歯が外れそうになって、ヒヤヒヤする」
このような入れ歯の「安定性」に関するお悩みを根本から解決するのが、このマグネットデンチャーです。

マグネットデンチャーとは?
ご自身の歯が残念ながら歯冠(歯の頭の部分)は崩壊してしまったものの、歯の根だけはまだ残っているという場合に適用できる画期的な入れ歯です。
その仕組みは以下の通りです。
- 残っている歯の根に「磁性金属」と呼ばれる、磁石にくっつく性質を持つ金属の土台を埋め込みます。
- 入れ歯の本体側にその土台に対応する位置へ、超小型の強力な磁石を埋め込みます。
この二つが磁力によって「ピタッ」と引き合う力を利用して入れ歯を強力に固定します。
マグネットデンチャーの優れた特徴
抜群の安定性
磁石の力で上下左右から、入れ歯ががっちりと固定されます。そのため食事中や会話中に入れ歯が浮き上がったりガタついたりすることがほとんどありません。
リンゴやおせんべいなど、これまで諦めていたような食べ物も自信を持って噛めるようになります。
「しっかりと噛める」という感覚は食事の喜びだけでなく、生きる活力そのものを取り戻してくれます。
着脱が非常に簡単
入れ歯を外す時は少し力を加えれば磁力が弱まり、簡単に外すことができます。入れる時はお口の中のだいたいの位置に合わせるだけで、磁石の力がお互いを引き寄せ合い自然に「カチッ」と正しい位置に収まります。
複雑なバネを引っ掛けたりする必要がないため、指先の細かい動きが難しくなってきたご高齢の方でも非常に簡単に、そして確実に取り扱うことができます。
シンプルな構造で衛生的
バネのような複雑な構造がないため、食べかすが詰まりにくくお手入れが非常に簡単です。
残っている歯の根の周りも歯ブラシで清掃しやすいため、お口の中を常に清潔な状態に保つことができます。
残っている歯への負担が少ない
金属のバネのように歯を横に揺さぶるような力がかかりません。噛んだ時の力は歯の根に対してまっすぐ垂直方向に加わるため、歯にとって最も自然で負担の少ない力の伝わり方となります。
大切な歯の根をより長く守ることに繋がります。
精密な入れ歯の作り方
こだわり1
お口全体の動きを捉える
「精密な型取り」
お口の中の粘膜は柔らかく動きやすい組織です。
ただお口を開けているだけの状態の型を取っただけでは、食事をしたり話をしたりする時の筋肉や粘膜の複雑な動きに対応することはできません。
当院ではまず、患者様一人ひとりのお口に合わせたオーダーメイドの型取り用トレー(個人トレー)を製作します。
そしてその個人トレーを使い、実際にお口を動かしていただきながら粘膜や筋肉の動きまでを精密に記録する「機能印象」という特別な型取りを行います。
この手間を惜しまないことで、動的な状態でも安定して外れにくい身体に調和した入れ歯の土台を作ることが可能になるのです。
こだわり2
顎の位置と動きを再現する
「正確な噛み合わせの記録」
私たちは患者様にとって最も筋肉がリラックスし、顎の関節が安定する理想的な顎の位置を探し出し、その位置で上下の歯がどのように噛み合うのかを精密に記録していきます。
そしてその記録を「咬合器」という顎の動きを再現できる装置の上で正確に再現し、歯を並べていきます。
こだわり3
設計思想を共有する
「熟練の歯科技工士との連携」
歯科医師がどれほど精密な設計図を描いたとしても、それを形にする職人の腕が伴わなければ優れた入れ歯は生まれません。
当院では私の治療哲学と設計思想を深く理解し、長年にわたって信頼関係を築いてきた極めて高い技術を持つ、入れ歯専門の歯科技工士と連携しています。
設計の段階から密にコミュニケーションを取り、時には製作の途中で患者様に試着していただき細かな調整を繰り返しながら、寸分の狂いもない世界に一つだけの芸術品ともいえる入れ歯を、二人三脚で作り上げていきます。
「仕方ない」から「これが良い」へ
入れ歯治療は失われたものを取り戻すための、希望に満ちた治療です。
インプラントという優れた治療法を熟知しているからこそ、私たちは入れ歯の限界とそしてその大きな可能性も深く理解しています。
もし今お使いの入れ歯に少しでもご不満があるのなら。
もし歯を失ったことで、食事や会話の楽しみを諦めてしまっているのなら。
どうぞそのお悩みを私たちにお聞かせください。
皆様一人ひとりにとっての最善の解決策がここにあります。快適で美しく、そしてしっかりと噛める入れ歯は皆様の毎日を、そして人生そのものをより明るく、より豊かなものへと変える力を持っているのですから。